『逝きし世の面影』

渡辺京二著(2005.9)。
日本の開国前後に来日した外交官やジャーナリストが記録した、当時の日本の庶民生活や文化の様相を紹介する本。
欧米人観察者から見ると、19世紀半ばの日本には「目を見張る異質な文明」が存在しました。地域によって格差はあったが、下層階級でも打ちひしがれていず、陽気に笑って夢見るように暮らしている、とか人々は時にむき出しな好奇心を見せるが、礼節を尊び親切である、とかそんなコメントが載っています。「妖精の住む不思議な国」という印象もあります‥。産業革命がもたらした下層社会の荒廃を見ていた当時の先進国の人々にはそう映ったようです。日本の庶民は、工業化以前の働き方、つまり、働きたいとき働き、休みたいとき休むというような悠長な仕事ぶりでした。

四季折々の植物を楽しみ、自然の景観を取り入れた屋敷をつくる。巧みな仕掛けのおもちゃが豊富で、大人までもそれで遊んでいる。生活雑貨のうちのある一種類(羽織紐とか)を専門に売る店がたくさんがある。庶民でも「日常の隅々までありふれた品物を美しく飾る」ような風流な生活を送っている。ああ古きよき日本。…といっても、これらの見聞はやはりものの一面だけを伝えるものでありましょう。当時、外国人がある程度自由に歩けた地域というのは限られるし(イザベラ・バードみたいに奥地まで旅した人もいましたが)、海に近い、特に太平洋側の村落は比較的生活しやすかったろうし。でも外国人たちは、確かに見たものを記録したわけです。

著者は、開国とともに一つの個性を持った文明は滅亡したのだ、みたいに書いていますが、近世の日本人が持っていた良き特性のうち、細々ながらも今に受けつがれてきているものも多いんじゃないでしょうか。
by itsumohappy  at 23:16 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

No title

きむじゅんさん
こんばんはー 隠れた趣味って・・(^^;
バードの紀行を読んでみようと思いつつまだ読んでいません・・図書館にあるかなぁ。昔の日本人の暮らしぶりは興味ありますね。今の日本人が何だか変というか以前と違っているような気がするせいでしょうか。子供でも出るとこ出れば大人のようにきちんと振舞える、といった記述が印象に残っています。
by hiro 2011/02/08 22:40  URL [ 編集 ]

No title

以前に読みました。幕末維新期に来日した外国人の日本紀行文が好きでよく読むので、けっこうツボにはまった内容でした。外国人から見ると、日本がまるでどこの国かと思うような別世界の理想郷みたいに描かれているので、それが何とも面白いのです。私の隠れた趣味ですね。
by きむじゅん 2011/02/08 00:32  URL [ 編集 ]
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