『競争と公平感』

副題「市場経済の本当のメリット」。大竹文雄著(2010年3月 中公新書)。
最近おざなりなつくりの新書が多いですが、この本は、行間も内容もわりと詰まっていて、時間をかけて書いた著作にみえます。

日本は、「市場経済への期待も国の役割への期待も小さい特殊な国である」ということが各種調査結果から導き出されるそうです。多くの国では、市場経済を信頼し、貧困対策は国に期待するという経済学者の標準的考えと一致した考えを持っているのだそうですが。

日本では市場競争に対する否定的な考え方が08年の経済危機以降急速に広まった。市場競争で格差が生じても「政府による再分配策」で解消すべきだという議論は主流にならない。
日本で市場主義が根付かなかった説明としては、「市場主義が大企業を保護する大企業主義と同一視された」ことが関係しているとあります。反大企業主義が反市場主義になったが、官から民へのスローガンのもと、利権が市場ではなく一部の財界に移された。それが反市場主義につながった、という解説です。

しかしながら、市場主義の否定は利権の奪い合いをもたらすだけで失うものが大きい。市場競争を否定するようなルールを設定するのではなく、競争がうまく機能するように政府はルールを設定し、国民はそれを監視することが大事である、と主張しています。

その他、著者の提言として、「役所が集めた日本の経済・社会のデータを公開し、政策効果の分析を世界に募る」「正社員の既得権益を見直し、正社員と非正規社員の間の雇用保障の差を小さくする(派遣労働規制の強化は経済全体の雇用量の安定につながらない)」「10年程度の任期つき雇用制度の導入など中間的雇用形態を作る」等々が挙げられていました。 
by itsumohappy  at 23:24 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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