『延安』

リービ英雄著。副題「革命聖地への旅」。
 
著者20回目の中国旅行(2006年)で訪れた延安の紀行文です。日本語にとって限りなく異質な風土と声を日本語にしてみた、とあります。長征の果てに共産党がたどりついた「絶対的周辺」の地で洞窟に住んでいた毛沢東、周恩来に思いをはせ、時にエドガー・スノーの足跡をなぞりつつ、山あいの村々を借上げ車で見てまわった印象が綴られています。

カラーの風景写真や地図でもあれば、街のイメージがぱっとつかみやすいのですが、そういうことはあえて?しておらず、各章の扉に内容に関係した白黒写真が1枚ずつあるだけ。山や街、人々の様子をひたすら文章で読みとる。なので、飛ばし読みに向かないです。
特別変わったことも起きない静かな旅行記ですが、何気ないようにみえてもかなり計算された構成かもしれません。

著者が最初に延安を訪れたのは96年。10年ぶりに再訪してインフラは変わったけれども農民は変わらない。実は、解放前から彼らの生活は変わらないのではないか。
「至上のサヨク・ノンフィクション」を著したスノーは、当時、中国における共産主義の発展に期待したかもしれない。しかし、解放後には飢餓が、その後には文革の長い混乱があった。今、陝西省の周辺を訪ねてみれば、レンガと泥の家並みが続く「第三世界的」な暮らしぶりがある。

人民は紅軍を、解放を歓迎したのかという問いを現地の住民に尋ねられなくなった著者は、結局のところ、これまでの当地の歴史は、人々の生活の歴史にすぎない。洞窟は革命遺跡ではなく人の家なのだ。などとつぶやいています。
by itsumohappy  at 22:16 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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