『スラム化する日本経済』 

浜矩子著。副題「4分極化する労働者たち」。
最近の新書はダブルスペースと思うくらい行間が空いています。まあ、すぐ読み終わるのでいいけれど・・・。手軽すぎて新聞記事の流し読み感覚です。日経で2、3回連載すればいいのでは?という感じ。

著者は、まず、先進諸国における「豊かさの中の貧困問題」の発生の背景を概説。BRICsをはじめとする新興国の活発な経済活動が、穀物、エネルギー価格の高騰を導き、物価高に対応するため企業は、人件費を抑制し、派遣労働を活用するといった流れです。

そして、現代のようなグローバル化した経済のもとでは、最底辺部を支える階層が出現し、最下位争いを勝ち抜くために労働者の選別、格付けが起こるという「新・資本主義」の出現に言及しています。
資本主義は変貌し、かつてのような「資本」対「労働」の構図から「労働」対「労働」のそれになった。副題にある4分極化した労働者というのは、正規、非正規、外国人労働者、労働者になりたくてもなれない人々を指します。

著者の主張は、「自分さえよければの論理では誰も生き残れない」ので、富のより公平な分配で共存の論理を達成する必要がある、という問題提起であって、ではどうするべきかという具体策には触れていません。「善意、寛容、視線の高さ」が試されている、助け合いましょう、という姿勢を説くような内容に終わってしまっている感があります。
by itsumohappy  at 22:56 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

大ざっぱ。

作太郎さん
いえおそれいります。
書店にあふれかえる書籍を見るとめまいがします。一体何を読んだらいいのかわかりません。小説以外は、新聞の書評、広告などを見て選んでいますが、売れている本が出来がいいとは限りませんしねぇ。

私は専門的なことはわからないのですが、この本はちょっと安直なしたてだなぁと感じました。多分、著者は、金融危機をきっかけにクローズアップされた「派遣切り」「非正規雇用問題」に焦点を当てたかったのかもしれません。

この度の経済危機に関連してたくさん本があるのでしょうが、危機に至るまでの事象・背景は分析できても、ではこれからどうすべきかという明確な答えは結局誰も持っていないのかなぁなんて感じたり・・。

下層階級の存在について、昔、教科書に載っていた、産業革命の頃炭鉱で働く婦女子の挿絵を思い出しました。
by hiro 2009/06/11 23:55  URL [ 編集 ]

労働vs.労働

内容的に疑問の多い書物ですね。

歴史を振り返るなら、労働 対 労働の図式は、なにもグローバル化の下で初めて進展したわけではないことくらいすぐに分かりそうなものだけれど。さらに言えば、過去には4分極どころかもっと複雑に分極化していた時代や社会のあったことも分かるはず。1970年代にあらわれた二重労働市場論はそのような現実を理論化する試みでしたし、あのガルブレイス先生も先進国経済を機能させるために不可欠な下層階級の存在について、『満足の文化』(原著1992年刊)の中で、指摘していました。

具体的な処方箋についても、1990年代の初頭から、外国人労働者問題を取り扱った研究の中で検討されてきました。今日、共通理解となっていることは、個人の善意に依存していたのでは問題はいつまでたっても解決しないということですね。

hiro さん、よい情報をありがとう。人間、一生の間に読める量は限られていますからね。「つまらなかった」という書評はとても重要ですよ。
by 作太郎 2009/06/11 00:46  URL [ 編集 ]
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