『日本語が亡びるとき』 

水村美苗著。何となく名前は聞いたことはあるこの方、著書を読むのははじめてです。けっこう長いエッセイというか論で、読むのにちょっと時間かかった。副題「英語の世紀の中で」からある程度うかがえるように、「英語」ひとつが事実上世界の「普遍語」となりつつある現在、「自分たちの言葉」による「国民文学」は亡びるかもしれない・・という内容の本です。

著者が亡ぶと危惧している「日本語」は、日常会話のようなただの日本語ではなく、「叡智を求める人が読み書きする言葉としての日本語」のことです。叡智を求める人ほど読まれるべき言葉(=普遍語つまり英語)のほうに惹かれてしまい、国語を読まなくなる。その結果、国語の価値はどんどん低下し、文学は終わりを迎えるだろうと。

かつての日本近代文学は、世界の中で「主要な文学」と位置づけられる質を誇っていたけれども、現代の日本文学は「ひたすら幼稚な光景」が展開されている。
伝統的かなづかいを表音式かなづかいにしたように、これまでも日本語は粗末に扱われてきた。今、中学校の日本語授業は週に3時間である。これらをみても、真剣に日本語が読まれなくなる状況に向かう一方である。日本語の将来をもっと心配しなければ!!と、お終いのほうは著者の叫び声が聞こえそうな感じでした。

では、どうすべきか。ですが、学校教育の場で古典とのつながりを最小限度に保つ努力をすること、即ち、学校では日本近代文学を読み継がせることに主眼をおくべき、と提唱しています。

小説らしい小説を読みたいと思うとき、やっぱり昔の本になる。今の文学は・・よくわからないです。そもそもあまり読んでいませんし>< 
by itsumohappy  at 00:20 |   |  comment (6)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

1984

えいはちさん
もちろん1984を意識していますよね。国外での売れ行きも
当然考えているでしょうし。うーん面白いのでしょうか。
熱心なファンが多そうです。村上氏自身が教祖みたい・・
by hiro 2009/05/30 21:23  URL [ 編集 ]

1984

間違えてジョージ・オーウェルの本、買っちゃったー!
というのはウソですが、ノルウェイの森とか、タイトルをパクるのも売れる秘訣?
by えいはち 2009/05/30 07:59  URL [ 編集 ]

発売日68万部。

FORZAさん
今日発売ですが、私はまだ見ていません・・ これまでの長編も「ノルウェイの森」くらいしか読んでないんですよ。興味ないわけではないのだけど、何故か読まないなー

 「1Q84」はカルトの話らしいです。オウムかなぁ。あれがヨガ道場始めたの、1984年だそうです。
by hiro 2009/05/30 00:10  URL [ 編集 ]

国語の誕生。

作太郎さん
えへへ。手を抜いたところ、しっかり突っ込まれました・・・(^^;)

著者は、「国語」という言葉は近代日本の過ちと切り離せないものである、「国語」即ち「日本語」となったことは国体思想の礎となった。・・云々と歴史的な説明した上で、その「国語」を、形式的に「国民国家の国民が自分たちの言葉だと思っている言葉」と定義づけて話を展開しています。

人々が巷で使う口語、つまり「日本語」という「現地語」が、“翻訳”(「書き言葉」への変換を意味する)を通じて「普遍語」(=漢文)と同じレベルで機能するようになったものが「国語」である、という少々こみいった(私には)説明になっています。

維新以前に、すでに日本では「書き言葉」が成熟し、印刷により広く流通していた。日本は他のアジア諸国と違って異国の支配下にならず(つまり支配者の言葉を強制される二重言語状態にならず)、「現地語」でしかなかった日本の言葉は、洗練された文学をはぐくみ、ついには日本近代文学の「奇跡」にいたった。さらに、「現地語」はそれで学問ができる(=世界と同じことを考えられる)までに変身したのである。・・・という感じに話が進んで、しかるに現代は英語の一人勝ち状態になってしまって、と続くのです。

著者は、日本語の読めない人々には、漱石のよさが理解してもらえないと嘆いていました。翻訳では伝わらないのだと。
by hiro 2009/05/29 23:55  URL [ 編集 ]

僕はまだ読んでませんが・・

イスラエルでガザ地区攻撃を批判した、誰々さんの「1Q○○」(名前忘れた)なんか、ちょっと興味がありますが。
あんなんは、いかがなもんでしょうか?
(中身は完全に秘密にされてるが)
by FORZA 2009/05/29 20:28  URL [ 編集 ]

日本語と「国語」

ぼくは読んでいないのでわかりませんが、著者は「日本語」と「国語」を区別して用いていますか、それとも同義のものと考えていますか。hiro さんのブログを拝見して、ちょっと気になりました。

本来、日本語と「国語」とは別個のものですから。わかりやすい例を引くなら、かつて日本という国土には、日本語を話す人もいれば、アイヌ語を話す人もいたし、琉球語を話す人もいましたが、明治維新以後、日本の国は、日本語を「国語」として選択し、他の(歴史的に形成された)言語の使用を禁じたという経緯があります。
by 作太郎 2009/05/29 08:13  URL [ 編集 ]
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