『アフリカのひと―父の肖像』

ル・クレジオ著(2004年)。
図書室にあったので、借りてみました。字が大きくて薄かったし。「自らの原点を語る感動の回想録」、というコピーです。私はこの作家の著作を読んだことがなかったので、どこまでわかるかなぁと思いましたけど、まあまあよかったです。

エッセーというのは小説以上に原文で読めたらいいですねぇ。この方の文体なんでしょうか、時制が前後するというか過去を未来のようにする文の翻訳がどうもしっくりこなくて。きっとはいぶろうな感じの原文なんだろうな。

著者の、英国人の父ラウル氏は、1920年代に志願して当時仏領のカメルーン西部に移住し、半径60キロの地域で出産から検視まで行うただ一人の医師として、22年間アフリカに生活した人物。
著者は、大戦が終わってからアフリカに移住し、8歳ではじめて父に会ったそうです。兄とともに地域で唯一の白人の子どもだった。アフリカの「内戦と病気の大地」のもとで、「完全に自由」な暮らしを送った日々を回想しています。

印象的なのは、ひとつに、土地の描写でしょうか。雷がドアから部屋に入りこんで床の上に広がり、手術台の金属の脚をとかした後、またひとつになって窓から空へ戻る、なんていうエピソード、すごいですね。

それと、文明国がアフリカにもたらした不正義に対する考察。植民地行政を嫌悪していたという父の姿を通し、糾弾調ではなくあくまで静かに語っています。

こういう少年時代を送った人もいるんだなぁ。
by itsumohappy  at 17:54 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

えいはちさん
おお、原文で勉強されたんですね!
この方、名前が何だかかっこいいです。

図書室にはあともう1冊あって、
ラテンアメリカの話でした。あちこち
放浪する作家さんなんですね。
by hiro 2008/10/21 23:05  URL [ 編集 ]

ル・クレジオについては日本での第一人者だったみたいな望月芳郎という先生の講義を昔、受けてました。
>時制が前後するというか過去を未来のようにする文
確かに原文はそんな感じだったような記憶がうっすらとあります。
作品を読んだのは講義のレポートのためと、「モンド」という映画の原作くらいですが、なんとなく好意は持っています。
ノーベル賞はとっくの昔に貰ってるものと、なぜか思いこんでいたので、意外でした。
by えいはち 2008/10/21 09:44  URL [ 編集 ]
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