『林業がつくる日本の森林』

藤森隆郎著(2016年)。著者は、森林総合研究所で造林などの研究をしていました。

持続可能な社会を構築するには、地域の自然を活かした循環型社会づくりが必要です。木材は生態系を循環する物質なので、日本の最大の自然資源である森林を適切に管理・利用すれば、地球環境問題の解決にもなります。優れた森林技術者の育成に国はもっと注力すべき、という内容です。

日本では、世界でも早く、400年位前から人工林育成作業が行われていました。しかしながら、現代では、放棄された人工林が多く、林業が軽んじられています。森林の維持に不可欠な間伐作業も、補助金目当ての数値目標の達成のため、建設業者による荒い作業が行われ、周囲の木を傷つけて価値を台無しにするような事態が起きています。

1960年代初め、木材輸入の自由化をきっかけに林業は衰退しますが、市場開放は外圧によるものではなく、日本が自発的に行ったことだそうです。当時は、国の発展のためには林業くらいはどうなってもよいという意識があったのだろうと著者は推察しています。近代化政策のもと、農山村政策が犠牲にされた結果、森林技術者の育成も手薄になりました。

ドイツをはじめとする欧州諸国では、そのような技術者(フォレスター)の育成体制は整っており、尊敬される職業でもあるそうです。
人材の育成だけではなく、誇りを持って働けるかどうか、森林技術者には特別な地位を与えることが必要であると著者は指摘しています。
by itsumohappy  at 20:17 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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