『南極越冬記』

西堀栄三郎著(1958年)。
1957年2月から翌年2月まで、南極地域観測隊第一次越冬隊の隊長として、昭和基地で隊員10人と過ごした記録です。2017年は、南極観測60周年です。

遠征当時はまだまだ貧乏国の日本。南極での生活物資は調達できても研究機材が不足しており、その機材も現地で耐えられるかどうか、また、衣料・食糧の必要量も不明といった状況で、「観測は従」という遠征でした。生きて帰ってこられるのかという思いも記され、なんだか悲壮感漂っています。

GPSもない当時は通信するのも一苦労です。持参したが役に立たない機械もあり、「新しい機械類も大事だが犬ぞりのようなクラシカルなものも必要」とあります。

娯楽を持たないという西堀氏は、隊員から「オジイチャン」と呼ばれていました。1903年生まれで本の扉写真で見るとすごく老けていて、気難しそうな感じ。それでも当時54歳です。隊員を統率していくことが難しい、と書いています。

全体に無味乾燥な記述で、隊員に関する記述もあまりあたたかみがない感じ。エキサイティングな紀行文ではないのは、決死の覚悟で南極に赴いたためでしょうか。越冬隊が撤収するときに残した樺太犬のことについても特別思い悩んだような表現はありません。タロ・ジロが確認されたのは、この本の出版翌年でした。
by itsumohappy  at 21:08 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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