『グアンタナモ収容所 地獄からの手記』

モハメドゥ・ウルド・スラヒ著、ラリー・シームズ 編(2015年発行)。

著者は、1970年生まれのモーリタニア人で、奨学金でドイツへ留学し、ドイツやカナダでエンジニアとして働いていました。帰国翌年の2001年、米国の要請で身柄を拘束され、ミレニアム・テロ計画(ロサンゼルス空港テロ未遂事件)に関与した疑いでFBI捜査官から尋問を受けました。いったん釈放されましたが、再度の事情聴取の求めに応じ出頭したところ、CIAの輸送機でヨルダンに運ばれ留置され、その後、アフガニスタン米軍基地を経て2002年、キューバのグアンタナモ収容所に収容されました。
2010年、米連邦地方裁判所が著者の釈放を命じたのにもかかわらず、拘禁され続け、今年で15年になります。

この手記は、著者が2005年の夏から秋、拘禁中に習い覚えた英語(著者にとっては第4言語)による466ページの手書き原稿を、米政府による検閲の後、編集者が編集したものです。著者の代理人を務める弁護団が6年以上かけて、手記公開の許可を得ました。持ち歩くのも大変なボリュームですが、黒塗り部分が多いので、読むのにそれほど時間はかかりません。

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著者が拘束された主な理由は、1991年~92まで共産政権との戦いのため、アフガニスタンで、米国に援助されていたアルカイダの施設で軍事訓練を受けたこととみられます。「アフガン、ボスニア、チェチェン訪問者は生涯監視され拘禁されうる」とあります。「独立国であるはずのモーリタニアが身柄を外国人に引き渡した」という事実も信じがたい。世界には、米国の思うままにされ放題という国々も多いのです。

6年間で100人以上に尋問され(「有史以来、6年以上来る日も来る日も尋問が続いた例など、他にあるのだろうか?」)、罪状もわからず裁判にもかけられない。偽りの自白を強要され「自白」してもさらに攻め立てられるという「キャッチ22的」状況です。いっそ「自分が何かに関与していればよかった」と述べています。

2001年9月、米国は、テロに関わった国・組織・個人への武力行使を決定し、テロ容疑者の拉致・拘禁・拷問・殺害を目的とする法的根拠のない秘密作戦を始めました。そうして、連邦法、国際条約の効力の及ばないグアンタナモに集められた「極悪人」は、非戦闘員ばかりで、多年の拘禁で精神的に病んでいる若者も多いそうです。

著者は、ハンガーストライキを繰り返す一方、米国人を理解しようと聖書を頼んで入れてもらったり、理解ある看守と歴史、文化、宗教について語らうなどしています。
一方、自分のために100万ドルを超える税金が費やされており、グアンタナモの真実を米国民に伝えたいと訴えています。
 
オバマ大統領は、2017年1月までの就任期間中に、グアンタナモ基地の閉鎖を目指すそうですが、実現するでしょうか。このような本を読むと、米国という大国の怖ろしさ、現実のすさまじさにひたすら打ちのめされるばかりです。

by itsumohappy  at 23:35 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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