『イチョウ 奇跡の2億年史 生き残った最古の樹木の物語』

ピーター・クレイン著(2014年)。著者は、キュー植物園の園長も務めたイェール大学林学・環境科学部学部長です。

イチョウは、2億年の間基本的に変わらないまま存在する「驚異の植物」。種子植物のうち、花粉管の中で精子を形成する古い生殖様式を持つのはイチョウとソテツだけです。1896年、日本人の生物学者たちが動く精子の様子を初めて観察しました。当時の植物界を震撼させる出来事だったそうです。

今でこそイチョウは街のあちこちにあり、珍しくもないですが、人の歴史の中で保護され生きのびてきた木です。
かつては、北半球の全域に生育していましたが、気候変動による寒冷化で北米大陸から姿を消しました。南半球でもイチョウ様植物の最後の形跡は、化石の分析で4000万年前とみられます。ところが、中国南部の山地にわずかに生き残っていました。

イチョウはその特徴(薬効、長寿、葉の形)により、人々から崇められる存在となり、約1000年前より自生地から寺院の庭などへ移植されました。800年前には韓国、日本へ広がりました。
イチョウが日本の文献に登場するのは、1446年。万葉集や源氏物語、枕草子にはありません。
17世紀末、ケンペル(東インド会社の医官でもあった博物学者)により学問的に記載され、生きている化石としてヨーロッパへ紹介されました。キュー植物園には18世紀頃の古木があるそうです。
19世紀の後半には、人目をひく珍しい木、東洋の象徴の木として欧米のあちこちに植えられました。

著者が指摘するように、乳をつけた古木にはカリスマ性があります。大気汚染や病気にも強く、大木にもなるのに、今や自生地がほぼないとされるのは不思議な感じがします。
現在、イチョウは栽培品種220を超えるそうです。

02GINKO.jpg
イチョウ Ginkgo biloba L.
『日本植物誌』 Flora Japonica(1835年-1870年にかけて刊行)より
by itsumohappy  at 23:43 |  その他 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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