『永続敗戦論』 

白井聡著(2013年)。副題「戦後日本の核心」。著者は、1977年生まれの社会思想・政治学者です。

著者は、敗戦を否認するゆえに際限のない対米従属を続けることを「永続敗戦」と呼んでいます。これが、戦後の国体であり、「敗戦を終戦と呼び換えるという欺瞞」によって戦後日本のレジームの根本が成り立っていると論じています。歴代保守政権により、「戦後」が際限なく続いてきました。
敗戦の否認のひとつとして、北方領土問題が挙げられています。講和条約で放棄した千島に国後、択捉は含まれていないと主張する政府の要求は「無理筋」であると。

以下、要約ですが、
日本の戦後民主主義は、冷戦の最前線を韓国、台湾、沖縄に担わせることによって生じた地政学的余裕を基盤に成立可能となりました。対米従属による平和と繁栄路線を支持した多数の日本人は、安全保障の問題を忌避し続け、できるだけアメリカの戦争に巻き込まれないようにする保証として憲法9条に利用価値を認めてきました。ですが、絶対平和主義は、生命を賭しても守られるべき価値として機能してきたのではなく、それが実利的に見て便利だから奉じられてきたに過ぎません。

2011年3月11日の大震災・原発事故は、戦後という歴史の区切りを示しました。3.11以降、各人が「自らの命をかけても護るべきもの」は何か真に見出す必要があります。国体の本質を内側からわれわれが破壊するか、外的な力によって強制的に壊されるか。戦後=平和と繁栄の物語を徹底的に再検証すべきである、と主張しています。

この度、安保関連法が施行されました。総理言うところの「戦後レジームからの脱却」です。今後、南スーダンとかで自衛隊員が大勢テロ攻撃に遭って殉職するかもしれない。そういうことも止むを得ないという覚悟を強いるのに、最初のステップとして、集団的自衛権の行使は合憲であると憲法解釈を変更するやり方をとったのは不適切だったと感じます。
by itsumohappy  at 23:22 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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