『資本主義の終焉と歴史の危機』

水野和夫著(2014年)。
少し前の新書です。現在と状況が大きく違うところがあり(特に原油価格の動向)、途中で止めようかと思いましたが、成長教から脱しようという主張が印象的だったので、ざざっと読みました。

著者によれば、資本主義には途上国という「周辺」の存在が不可欠ですが、こんにち、市場の拡大・成長の余地はなく、ゼロ成長すら困難です。資本主義の終わりが始まっているのに無理やり利潤を追求すれば、格差や貧困が生じ、圧倒的多数の中間層が没落します。それは民主主義の基盤の崩壊を意味します。

そもそも資本主義は、「内在的に過剰・飽満・過多を有するシステム」であり、その強欲さゆえに自己破壊を起こします。資本主義の最終局面では、経済成長と賃金との分離は必然で、日本では、1990年代後半から配当を増やすために実質賃金が低下しました。成長に期待をかけるほど雇用が犠牲になります。 

政府は、デフレ脱却、賃金上昇、経済の好循環などと言っていますが、金融緩和と財政出動による好景気は所詮バブル。技術革新で成長するのは21世紀では幻想であり、成長教にしがみつき続けることは却って大勢の人々を不幸にします。デフレも低金利も資本主義が成熟を迎えた証拠で、退治すべきものではないと記されています。

今の資本主義は、「粗暴な資本主義のための資本主義」に変質しており、そしてそれは必然である。今後は、脱成長主義、新しいシステムの構築が重要、とのことですが、ではどのようなシステムが理想なのかは著者にも明らかではありません。

著者は、ある種の世界国家を想定せざるをえないとします。グローバル時代では格差も国境を超えます。
少なくともG20が連帯して巨大企業に対抗して、国際的な金融取引に課税し、国境を越えた分配の機能を高める。あ、ピケティ教授も似たようなことを言っていますね。そして、日本については、消費税より法人税、金融資産税を強化する。資本家の利益のためにすぎない労働規制緩和の推進・法人税減税より、国の財政を健全にして分配の機能を高める。名目GDPを維持するためには国内で安いエネルギーを自給することに努める。そのような政策が必要と提言しています。
by itsumohappy  at 16:55 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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