『21世紀の資本』

トマ・ピケティ著(2014年)。 
今をときめく?「ロックスター経済学者」の大作。著者によれば、この本は、国民所得に占める資本の増加問題を、18世紀から現在までの歴史的背景の中でとらえようとした最初の試みだそうです。

本文だけで600ページ超、5940円!なので、都心と違って地元の書店にはありません。手に取る前から、まともに読めないことはわかっていたので、図書館で借りました‥。予想どおり初めから苦戦です ‥いや、「戦」にも至りませんな。んがー

ひととおりページを繰りましたが、私の頭ではどうにか要点らしき部分を拾うような読み方しかできません。この著作については、昨年半ば頃からかなり報道されているので、つい買ってしまう方も多いかもしれませんけど、ええっと、学者や研究者でもない一般の人々が読むには……(--)。 時間がない場合は、第Ⅲ部または第Ⅳ部から、立ち読みでは、「おわりに」部分冒頭3ページ分(^^; を読むといいと思います。また、このサイトの 「発表スライド」に主な図表があります。

1980年~1990年、全ての富裕国で富の格差が拡大傾向となりました。著者の問題提起は、格差の存在自体ではなく、それが正当なものか、格差の理由はどこにあるのかということです。

ヨーロッパ、米国における所得と富の分配をめぐる長期的な動向を分析すると、戦争や疫病流行など特殊な事態や公共政策による影響を除く一定の条件下では、人類の歴史の大半を通じて、資本(=富=財産、と本書では定義)からの収入の率(r)が経済成長率(g)を上回っています(r>g)。これは、論理的必然ではなく歴史的事実であると記しています。

過去の富は労働を加えなくても労働起因の富より自動的に増え、この先見込まれる低成長、人口減の社会では、よりその傾向が強まります。相続によって受け継がれる富は自己再生産し、不労所得生活社会を強化・持続させます。お金がお金を生み、金持ちはより金持ちに。まあ、資本主義社会ではそれもある程度しかたない気がしますね‥。しかし、著者は、過去が未来を蝕む傾向になるのはいかがなものか、21世紀のグローバル社会における資本主義は「もっと平和で永続的な形」であるべきと訴えています。

憂うべき現状のひとつに、米国をはじめとする一部の富裕国での超高給与現象を挙げています。米国では、1977~2007年における同国経済全体の成長分のうち、上位10%が4分の3を所有、そして上位1%が成長分の60%を取り込むとあります。「スーパー経営者」への、彼らの生産性に見合っているのか不明なほどに高額な報酬が、富の分配格差の拡大に拍車をかけます。
一方、ヨーロッパでも、上位10%が総財産の60%を占めるそうです。

著者は、様々な統計を用いて以上のように分析していますが、国も時代も富裕度もまちまちなものを、正確に各国比較するのは困難です。データの扱いは、学者によって意見が異なるでしょう。著者も、特に新興経済国の格差の調査には、信頼に足る情報が少ないと述べています。
また、諸国の金融統計を付き合わせると、世界全体が大幅にマイナス収支となり、富の分布が不透明であるとも報告されています。捕捉されていない資産は世界のGDPの約10%、その4分の3は富裕国のものとする説もあるそうです。

不公正な「グローバル世襲資本主義」を規制する策として、著者が、空想的な発想としつつも提言しているのが「資本に対する世界的な累進課税」です。資産の評価、税率、歳入の分け方等、困難は多いけれども、富の所有者情報を国際的に共有できれば、金融の透明性も向上し、世界の富を公正に各国で分配できると主張しています。

この30年で米英の税率は低下しました。米国では最高所得への税率が1980年は70%だったのが、1988年には35%となりました。超高給与の増大を阻止する唯一の方法は、最高所得への没収的(!)な税率です。

日本国内に、超高給CEOってどれほどいるのか‥。少なくとも米国ほどの社会的論議にはなっていないと思います。懸命に働いた結果築いた資産が、ごっそり税金にとられることになるなら一層隠したくなりますね。また、勤勉であることに価値を見いだせなくなるような? 今の世の中、お金に働いてもらうほうが効率が良いと理解はできても、そんなの何だかいやだなぁと確かに感じます。世界の大富豪がどんなものか想像しにくく、こんな低レベルな感想になってしまうのですが。

「長い目で見て、賃金を上げ、賃金格差を減らす最善の方法は教育と技能への投資」とあります。本来それが理想で、順調に経済が成長する世の中であれば格差は拡大しないが、21世紀の資本主義社会は歪む一方ではないのか。よい教育を受けられるかどうかも、昨今は世帯の所得に左右されています。

最後に著者は、あらゆる市民、学者、活動家、政治家は、お金を取り巻く事実と歴史に真剣な興味を抱き、そして、最も恵まれない人の利益を考えるべきと述べています。
by itsumohappy  at 23:00 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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