『特攻体験と戦後』 

島尾敏雄と吉田満の対談(1981年)です。
島尾氏は、志願して海軍予備学生となり、特攻隊長として奄美の小島で過ごすも戦闘体験がないまま終わりました。一方、吉田氏は、学徒出陣で海軍入りし、戦艦大和の水上特攻作戦に参加して、からくも生還した1割弱の乗員の一人です。

「後ろめたい気持ちが消えない」と語る島尾は、吉田の『戦艦大和ノ最期』をこの対談の直前まで読んでいませんでした。戦死の意味や生き残ったことに対する思いは、両氏で異なるようですが、共通しているのは、「負け戦ということは分かっていたが、日本の人たちがあとで幾らかでもいいようになるならと思い、生きながらえることは考えられなかった」という感覚です。
しかし、二人とも生き残り、「自分を納得させられないまま、なし崩しに世の中の移り変わりに合わせてきた」(島尾)、「日本人が何のために苦しんだのか、終戦でいろんなことが全部捨てられ(戦争自体を総括することが)棚上げされてしまった」(吉田)と語っています。

そして、吉田は、日本人の非常に優れた面と偏った面とが大和の最期には極端に出ていたとし、日本(日本人)の重大な欠陥はこの極端性にあるのではと示唆しています。対し、島尾は、極限状態では一見美しいきれいなものが出てきて、それが怖ろしいと。特攻はルールがどこかはずれている、戦争はせいぜいスポーツみたいなところでとどめておくべきと述べています。
by itsumohappy  at 17:22 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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