『蒲団・一兵卒』

田山花袋作(1907年)。
蒲団、って文学史のはじめのほうで必ず出てくるので有名です。薄かったので読んでみました。当時、蒲団は「近来の傑作」と言われたそうです。「他人の物笑いになりそうな自己内部を暴露」して、私小説のさきがけとなりました。それで文学史に出てくるのですが。
蒲団以降、「誰もが平気で自分の体験や周囲の者の描写を始めた」と解説にありますが、小説ってそれが当たり前だと感じる現代の目から見れば、このお話自体は、特にどうという内容ではないです。ただ、主人公があんまり情けなくて、明治の男性もけっこうめめしいのが面白かったり‥。もっとほかに書く題材がなかったものか。まあだからこそ私小説なんでしょう。

蒲団よりも短編ですが、一兵卒の方が小説のリアリティを味わえます。田山氏は、日露戦争の従軍記者だったそうで、その体験に裏打ちされた描写が印象的です。はなばなしい遼陽の会戦のうらで、戦争に狩り出された一青年が苦しみぬく。こういう小説は、いつの時代に読んでも胸を打たれます。
by itsumohappy  at 23:36 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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