『日本アルプス-登山と探検』 

ウォルター・ウェストン(1861-1940)著(1896年)。ウェストンは1888年、宣教師として初来日。1915年まで3回にわたって来日し、足かけ20年近く日本に滞在しました。1891年から本格的に日本の山に登り始め、それまでの山岳登拝とは異なるスポーツ登山を日本に紹介しました。この本を読んでウェストンを訪ねた小島烏水と岡野金次郎は、勧められて日本山岳会を創設(1905年)し、近代登山の機運が盛り上がりました。

猟師たちを案内人に雇い、日本アルプスを次々と踏破した記録です。当時、山に入るのは猟師と樵夫で、「登山」のための道がない。まさに探検です。健脚なウェストンは、一日30、40キロは普通に歩いています。

山歩きメモのほか、日本の民俗、村人の様子なども記しています。どこの宿でも蚤と宴会騒ぎに悩まされています。また、昔の日本人はずいぶんのんきだったようで、「今」というのは、今とクリスマスの間のどこかと考えた方がよい、などと言っています。好奇心あふれる村人から、外国風に食べるところを見たいと言われてとまどったり、飛騨あたりの奥地になると案内人の日本語が通じなくてウェストンが飛騨弁の通訳をしたり、などというエピソードもあります。

日本アルプスで最も困難な登山は、笠が岳でした。迷信深い村人から入山すれば山の精が罰を下すと騒がれたところ、そんな脅しをあざ笑った地元の猟師が、周りに見つからないよう登山の便宜を図りました。自然相手の猟師には頑迷さがなかったのでしょう。この本には、そんな彼らの写真がいくつか載っています。みな気骨のあるしっかりした面構えです。

油紙で防水とか、今から見ればろくな装備もない探検ですから、様々な困難があったでしょう。その分、登頂の喜びや充足感は現代人には想像できないほど大きかったと思います。
日本アルプスの規模はスイスのそれに劣るけれども、谷間の絵のような美しさ、壮大な山腹を覆う森の壮麗さはヨーロッパアルプスで見たどれよりも美しいと述べています。たしかに日本の自然は瑞々しさに満ちています。ヨーロッパアルプスは岩と氷の突き刺すようなイメージですね。
by itsumohappy  at 21:37 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

No title

作太郎さん
昔の槍ヶ岳の様子はだいぶ今と違うようですね。何度も渡渉したようで。鉄砲はクマよけでしょうか。

今は、ルートも整備されてそこそこ体力があれば誰でも登れますね。自然そのものも治山治水できれいになっているでしょうね。
by hiro 2014/02/07 09:03  URL [ 編集 ]

冒険

まさに探検です。小島烏水の文章に「槍ヶ岳探検記」という文章があったと記憶しています。当時槍ヶ岳に入るには、鎌や槍,鉄砲の一丁は必須、とものの本に記されていたとか。
by 作 2014/02/06 00:11  URL [ 編集 ]
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