『エデンの東』

ジョン・スタインベック作(1952年)。
近年、古典新訳ブーム?です。長くて大変そうな本でも読んでみようか?という気になります。2005年に出版された新訳で読みました。

大作です。映画になりましたが、原作の一部であり、しかも最後まで登場する重要人物がカットされ、その人物の役割も違う者が演じています。とは言っても、俳優たちの素晴らしい演技、美しい音楽、何度見ても涙のラストシーンなどにあるように、映画は映画で非常にうまく脚色・演出されています。

で、原作です。今年読んだ本のなかで、最も小説を読む醍醐味を得られたものと言えます。読み終わり、またページをあちこちめくって小説のメッセージを考える。最近、そういう本は少ない。あまり聖書を知らないので、創世記第4章(カインとアベルの物語)を参照して、また、考える。

南北戦争から第一次世界大戦の間、3代にわたる物語に登場する多彩な人物を通じて、人間とそのあり方とは、善悪とは、と問いかけてくる作品です。…読んでいない方に勧めたいので、内容に触れないよう書くのは難しいな(^^;  

カインとアベルの物語では、神の気まぐれ?により受け入れられなかったカインが、怒りと嫉妬で罪を犯します。これを、小説で、預言者(かつ予言者でもある)的存在として登場するサミュエルは、「時代や文化民族を超越した全人類の物語」とし、誰もが背負う「罪」にどう向き合うかを説きます。そして、賢者のリーは、「いくら弱くても、穢れていても、弟を殺しても、人間には偉大な選択の権利が与えられています。人間は自分の進む道を選び、そこを戦い抜いて、勝利できるのです」と語ります。決して宗教くさい、説教くさい描写ではなく、自然にストーリーをすらすらと楽しめます。
重要人物の一人として登場する「悪魔」は、過去読んだ他の小説にはあまりなかったと思うほど強烈な悪でした。

すらすら読みながらも、時に賢者の言葉に耳を澄まして思案する、そんな小説です。
by itsumohappy  at 18:19 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

物語の力

作太郎さん
『ブッデンブロークス』いいですね。作家自身のルーツをモデルにしているところも共通しています。『ブッデンブロークス』は斜陽といいますかちょっと寂しい気持ちになるお話しでしたが、エデンのほうは苦悩の中にも希望を見出していく感があります。
スタインベックらしい土くささも印象的です。
by hiro 2013/12/22 21:19  URL [ 編集 ]

知らなかった

そういうお話でしたか。三代というと、すぐにトマス・マンの『ブッデンブロークス』を思い出すのですが、あれも長編ながら、読者を離さない吸引力がありますね。
by 作 2013/12/20 23:30  URL [ 編集 ]
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