『イザベラ・バードの日本紀行』

開国間もない明治日本の奥地を旅した英国女性の手記(1880年)。2008年に講談社から出版された全訳です。妹や友人たちに宛てて書いた手紙を中心に構成されたものです。著者のスケッチを含む挿絵がたくさんのっています。1400マイル(約2240キロ)の旅における見聞を正確に記して事実を伝えることを目標にしたとあります。故パークス夫人に捧げられています。

バードは1878年に来日し、日本人従者と東北、北海道を旅しました。今でいうトラベルライターでしょうか。
原題(UNBEATEN TRACKS IN JAPAN)から伺えるように、当時の日本の内陸はまだまだ外国人が旅行を楽しむという地ではありません。ほとんどの友人が反対するなか、ハリー・パークス卿(イギリス公使)の励ましを得て、従僕の伊藤(18歳)を雇って出発しました。

東京から日光、会津、新潟と北上し、行く先々の村や人々の様子を細かく記しています。地域によって生活レベルに相当差があったことがわかります。著者は、どこへ行っても蚤や虫の襲撃に悩まされ続け、また、初めての外国人女性に好奇心いっぱいの見物人に取り囲まれています。2000人もの野次馬が押しかけ、屋根から落ちたり屋根が崩れたりなどというエピソードがあります。それでも直接、無作法な扱いは受けなかったそうです。

日本は、古いものと精緻な文明を持つ偉大な帝国であり、めずらしいものがそこかしこにあり、よその星にいるようと語っています。また、日本人は、一風変わった経済的自立心がとても旺盛で物乞いをしないとみています。

旅行先のなかでは、やはり日光の描写が印象的でした。日光は日本の楽園のひとつで、人形の町のように映ったようです。北海道では、開拓政策のもと、伝統的な生活基盤を奪われて窮乏化が進むに任せているアイヌの様子を伝えています。
その他、要領がよく少々小生意気で打算的、しかし向学心旺盛な従者・伊藤の様子が面白い。明治初めの目端のきく若者ってこんな感じだったのですね。

by itsumohappy  at 21:39 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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