『孤高の人』

新田次郎作(1969年)。加藤文太郎をモデルとするお話です。
文太郎は、六甲の峰々100キロを17時間で移動する俊足の登山家です。喜作のように、嘉門次のように姿勢よくすいすいっと歩くと描かれています。北アルプスでいえば、朝に燕山荘を出て、昼に槍ヶ岳頂上、キレット通過して明るいうちに穂高小屋(穂高岳山荘)に着き、翌日は奥穂―前穂を往復し西穂から上高地へ降りるというスピードだったそうです。

戦前、登山は高価な道具を持てる「エリート族」中心のスポーツで、地下足袋・なっぱ服・お手製防寒着で歩く社会人登山家・文太郎は異色の存在でした。単独行のゆえ、耐寒・絶食・ビバーク訓練を独特な方法で行うシーンがあります。効率良くエネルギーがとれるよう補給のしかたにも工夫をこらしていました。

けっこうな長編ですがすぐ読みおわります。文太郎の登山は、楽しみのための登山にはみえないですねぇ。この方にとっては、過酷な歩きや限界への挑戦?が一種の楽しみだったのか。
冬期北鎌尾根へのチャレンジの背景描写は、今ひとつ納得いきませんが、小説なのでそういう展開なのかな。

今はよいお道具がたくさんあります。普通の人がそれなりにお山を楽しめるいい時代です。
by itsumohappy  at 17:53 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

No title

作太郎さん
こんばんは 漫画にもなっているようですね。実名のまま小説にすると、どこまで本当なのか、事実でなくても本当ととらえてしまうこともありますね。今の作家だともう少し気を遣って書くかな、と思います。
いったん活字になってしまうと誤解をとくのも難しいですね。
by hiro 2013/11/28 21:32  URL [ 編集 ]

実際との相違

新田次郎のこの小説は、彼の作品の中でもっとも読まれているもののひとつです。新田は加藤文太郎の残したものををよく読んではいますが、作り話のところも多く(小説ですから当然です)、そこが批判の対象となっています。とりわけそれが文太郎の死とかかわっている部分ですから、この小説で悪者に仕立て上げられた登山家の友人たちや山をほんとうに愛する人たちはやりきれないでしょうね。
by 作 2013/11/26 21:43  URL [ 編集 ]
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