『羊の歌』『続羊の歌』

加藤周一著(1968年)。
評論家・思想家(というのか)であった氏の回想録。この方、昔、たまに新聞などに難しい論評みたいなの書いていたなー、くらいしか頭に浮かばず。この本、納戸にあり、中高時代に課題図書の一つだったことを思い出して何となく読んでみました。

幼年時代、祖父の思い出、戦前の東京、医学生の日々、戦時体制下の生活、ヨーロッパへの留学等々の思い出が綴られています。
1930年代以降、「とめどもなく狂って行く社会」の先には破滅が待っていることがわかっていたと記しています。そして、政府の宣伝に迷わされなかったのは、その宣伝が自己矛盾に満ち溢れていたからと。
しかし、加藤氏のような当時の限られた知的階級がいくらそう思っていても、狂ってしまった社会ではどうしようもない。エリート学生がそれだけ分析していたのですから、一部の支配層も同様に考えていたはず。

氏は、戦後、原爆被害の調査で広島を見、そして、庶民が不屈の精神で生活を立て直していくのを見、また、今でいうグローバルな視点で戦後世界のありようを見てきた人でした。
その過程で、血液学の専門家から文学の専門家に、そして次には専門家を廃して非専門家の専門家になりました。

氏について特別関心がないので、本の感想としては、うーん…?かな。個人的には、以前住んでいた渋谷の美竹町付近の戦前の様子が描かれていたのが多少興味深かった。

昔はこういう本当のインテリがいました。どこまでも深い教養・見識をバックに複合的な発想を持ち、洗練された表現をする人。今は、単に頭がいいだけ弁が立つだけのぺらぺらの「偉い人」が多かったりして。
by itsumohappy  at 22:15 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する

最近のコメント
リンク
このブログをリンクに追加する
カテゴリー
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

RSSフィード
最近のトラックバック