『火山と地震の国に暮らす』

鎌田浩毅著(2011年)。著者は火山学者です。
日本は世界有数の変動帯にあります。活火山が100個以上、4枚のプレートがせめぎあい、先進国でもこれほど自然災害の多い国はそう多くないそうです。

東日本大震災後、地下で地震が増加した活火山は、日光白根山、焼岳、乗鞍岳、箱根山です。今後数年間は注視が必要とのこと。いつ噴火してもおかしくありません。
昨秋、登った焼岳では、もくもく勢いよく上がる噴煙が面白かったのですが、喜んでいる場合ではなさそうです。
また、震災は、富士山の地下20kmのマグマだまりにも何らかの影響を与えたらしく、流体が時折揺れているそうです。

地震と違って、火山の噴火は事前予知可能です。ひと月ほど前から前兆があります。今後心配なのは、太平洋沿岸で起きる巨大地震とそれに伴う富士山の噴火。南海トラフ沿いの巨大地震の発生は、90~150年おきで、3回に1回は超ど級地震です。次に来ると言われているのが、その超ど級の回に当たるそうで、東海、東南海、南海の3連動です。
過去、元禄関東地震(1703)に続く宝永地震(1707)の49日後に富士山は爆発しました。
地震より火山噴火のほうが人類にとって影響力が大きいそうです。文明をまるごと滅亡させたこともしばしば。また、火山灰が残るのがやっかいらしい。

造山活動のエピソードがいろいろと紹介されています。
9万年前、マグマが一度に噴出した阿蘇山の火砕流は、九州の北半分を埋め、海を越えて山口県まで達し、火山灰は北海道まで飛びました。

また、北アルプスは、変動帯を研究するには絶好の場所です。上高地のカルデラ(スペイン語の「鍋」に由来)は、世界でも最大級。太平洋プレートが日本列島を押し付け、土地が隆起し、4000m削られて露出したマグマの堆積物が冷え、数百万年かけて槍穂などの山稜となりました。
ウェストン碑の掲げられた岩が、滝谷花崗閃緑岩という火砕流堆積物で、世界一新しい(といっても140万年前)マグマ固結岩石です。花崗閃緑岩は地下3000mでできる深成岩なので、通常、地表に出るまで1000万年かかるそうです。

そして南アルプスは、フィリピン海プレートの働きによるもの。南ア最古の岩石は、北岳の八本歯コル付近の石灰岩で、1億3000万年前の珊瑚です。
中部山岳の下には2つのプレートが沈みこむので、高山が多い。

関西では、花折断層というのが、地質学者の間では知らぬものの無い有名な断層だそうです。滋賀県西部から京大のグラウンドを突き抜けて吉田山の南で終わります。断層が作った地盤の割れ目が、やがて人々の行きかう峠や谷になりました。この断層沿いの道は、北は若狭まで伸びて、京都と日本海を結ぶ主要な街道(鯖街道)となりました。

地質学者は、フィールドワークを通じて、自然現象を自分の五官で知るという楽しさがあり、野外で崖や岩、火山灰などの噴出物を見続けていくうち、目が肥えていくのだそうです。しかしながら、地球の活動には不明の点が多く、それを一般の人に理解してもらうのは非常に困難、とあります。最も基本的な断層の位置関係についても、研究者の間で議論が分かれ、一般の人々が一番知りたい部分について今の地球科学は答えられないらしい。

地震や火山活動は防ぎようがない、ということで、防災ではなく減災という言葉が火山学界で広く用いられるようになりました。日本の火山学のレベルは高いそうですが、行政レベルにおいてエキスパートが育たないということで、科学者、特に自然科学者は、市民生活に必要な科学的知識をわかりやすく効率よく伝えていくことを今後より重視すべきと著者は主張しています。
by itsumohappy  at 23:08 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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