『ザ・ラストバンカー』

住友銀行頭取だった西川善文氏の回顧録(2011年10月)。
普通は、バンカーなる人の顔なんて知りませんが、この方は、いっとき鳩山大臣(裁判インコの着ぐるみを着ていたほう)とのヒール対決といった感じでよくマスコミに登場していました。

西川氏は、約30年間不良債権問題に関わり、破綻会社の処理と再建に明け暮れていました。1960年代の高度成長期まで(オイルショックが起きるまで)、バンカーというのは金屏風の前で決済印を押している、というようなイメージだったとか。氏の入行後は、銀行を取り巻く社会や経済環境が根底から変わり続け、常に「スピードと力のある決断」が求められたそうです。

安宅産業破綻処理、平和相銀合併、イトマン事件の処理、バブル崩壊後の不良債権処理、日本郵政の舵取り等々、多彩なエピソードが登場します。破綻処理を通じて再認識したことは、「会社はやはり最後は人である」こと。そして、住友銀行の場合でもトップが正常な判断ができなくなったときにどうなったか、かなり具体的に記しています。
その他、東京三菱とのUFJ争奪戦での敗北や、郵政問題で政治にさんざん振り回されたことなどに言及しています。

回顧録なので、書きたいことしか書いていないでしょうが、政治家、マスコミの視点ではない、銀行の視点で書かれたものはあまり見ることはないかもという点で意味のある本でしょうか。だいぶマスコミの無責任な報道に怒り心頭だった様子で、ビジネスの現場における合理性を、合理性ではなく根拠なき情緒で批判するのは、決断の現場の実態を何も知らない不誠実な態度と斬り捨てています。
by itsumohappy  at 23:38 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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