『半島へ』

稲葉真弓作(2011年)。
『海松』、『光の沼』に登場した志摩半島での暮らしぶりをさらに深く描いたもの。
主人公は、中年というには少々歳をとっているが、かといって老人というわけでもない年まわり。日々都会での単調な生活を繰り返し、ある日ハッと気づくと、なじんだ街も店も流行の場所も、もう自分には意味のない、抜け殻のようなものになっていた。

親しくしていた友や知り合いの死、老いゆく親を思い、何か「早くしなきゃ」という決意に動かされる。そして、「私の青春は終わってしまった。だから森へ行く」とばかりに、半ば衝動的に半島での暮らしを始めます。

ご近所の移住者たちとの交流、四季折々の自然の恵みといった、しごく平和な世界が展開されます。栗の花の蜂蜜やバケツいっぱいとってくる牡蠣とか、沼にあふれるホタルとか本物の豊かさです。そして合間合間に登場する「死」。しかし、人は死にいくが自然は再生を繰り返す。

こういう、特別変わったことは何も起きないけれども、静かで、おしつけがましくないお話はよいです。ただ、このモチーフ・設定で、ずっと書き続けるのは難しいだろうなぁ。
by itsumohappy  at 22:43 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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