『父 -その死-』

幸田文著。

今読んでいる外国の小説が、あまりにあまりに訳わからなくって困っています。そういう時は何かすっきりしていそうなものを読みたくなる。何冊か文学全集をひっぱり出しておいて、適当なものに逃げます。で、この短いエッセーにしてみた。

父である幸田露伴の作品ってひとつくらい読んだかなぁ。どんな小説家なのか全然わからない。なんか、お掃除の権威らしい、というのをうっすら知っている程度。ですが、「学士院会員・芸術院会員・文化勲章」という偉い方でした。最後は病重く、ぼろ家で寝たきり状態になって、終戦直後に亡くなりました。

自宅介護の日々が綴られています。「(看病人のくせに)おまえはわたしに逆らったことを悲しむときが来るだろう。かわいそうなやつだ」なんて言う病人なのに、少しでも生きながらえてもらって「父の学問を心から喜ぶ人」のお役に立てるようきっちり仕えなければと、氷や医者の手配にかけずりまわる。「父に愛されなかった」と長く恨んでいたことを心中詫び、今まで父に気に入られたことがないから、今度は気に入られる仕え方がしたい、と懸命の看病を続けます。いや大変な親子です。

物資不足のなか大した治療も受けられないで、露伴は亡くなりました。文子は、なき父との想い出は「燦として恩愛」と書いています。他人にははかり知れない親子の情愛。そういうのが薄いまま終わった自分のことを考え、少しうらやましいような、何ともいえない複雑な気分になりました。
 
by itsumohappy  at 18:10 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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