『火山に恋して -ロマンス』

スーザン・ソンタグ作(2001年)。原題“THE VALCANO LOVER”です。この作家の著作を初めて読みました。

ナポリの火山を愛する主人公、英国公使カヴァリエーレ(ハミルトン卿)を中心に、その妻となるエマ、英雄ネルソン提督が登場します。他に、ゲーテ、アントワネット、モーツァルトなど同時代の有名人の名が随所に出てきます。

時代の雰囲気もよく出ていて、お話はとても興味深いのですが、表現が回りくどくて読みにくい。色々な人々が交錯していて、面白くなるはずなのに!もっとシンプルに展開してくれればなー。最後のイタリア女性の登場も唐突で、とってつけたような感じ。ただこの女性のモノローグは重要です。構成のバランスがよくないのかなぁ。もやもや感が残りました。
by itsumohappy  at 00:02 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

『松風の家』

宮尾登美子作(1989年)。この作家の本を初めて読みました。京都の茶家、「後之伴家」の物語。モデルは裏千家ですね。どこまで本当の話なのか知りませんが‥。

明治の御一新により、それまでの大名公家相手のお茶では宗家の存続が危うくなります。茶道具や家財を手放しながらの苦しい日々が続くなか、新しい家元は、茶湯の一般大衆への普及を目指します。
と言っても、茶道の広まりを語る内容ではなく、利休を祖とする家の継承が主題です。家に振り回され、縛り付けられる主人公(新家元の異母妹)の出生の経緯をはじめ、次々と家の秘密が明らかになっていきます。「家にとって重宝か、都合が良いか」で全てが決められても、主人公はその運命を淡々と受け入れていきます。

京都弁炸裂です。ちょっと読みにくいくらい。「京に生まれた人間が大人になるちゅうことは、ものの察しがようなるちゅうことや。世のなかには暴いてはいかん真実というもんがある、長追いはおやめやす。」みたいな調子です。

「長男だけは天皇さんで他の子は皆道具のひとつ」なんてありますが、裏千家当代の長男は、お茶の道を選ばず、分家してしまいました(家元を継がない男子は苗字を変える)。今は絶えてしまった家の姓をひとり名乗る(名乗らせられる?)ことになりましたが、その姓は、この本で主人公の夫となった業躰の家のもよう。まあ、茶人となった次男がいるので、裏千家は存続するのです。
by itsumohappy  at 20:51 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

『山怪 弐』

田中康弘著(2017年)。山の不可思議目撃談、『山怪』第2弾です。

狐火、神隠し、「出る」小屋などの定番がやはり登場。林業従事者が「山林にいて嫌な気持ちになる場所」の話もいくつかあります。何でも、切りたくない木、残さなければならないと感じさせる気を発する木があるそうです。

野麦峠で夜、車内で休んでいたら昔の女工に取り囲まれたとか、谷川連峰でテントの周りを悪いモノが歩くから撤収し移動したとか、怖いよー。谷川はいかにもたくさん漂っていそうです。
霊感がなくてありがたい。
by itsumohappy  at 23:00 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

『花と龍』

火野葦平作。1952年6月から翌年5月にかけて読売新聞に連載された小説です。
主人公、玉井金五郎とマンの、1902年(明治35年)ごろから30数年間にわたる苦闘を描くものです。作者の父母がモデルとなっているそうです。

福岡県の若松周辺が舞台です。筑豊の石炭輸送のため、洞海湾を行き交う船を相手とする沖仲士たちの物語が主体です。川筋気質というのか、この地の独特な雰囲気がよく伝わってきます。

あまり、こういう、親分子分の義理人情やら面子やら浪花節満載の小説は好きではない、といいますかかなり苦手なのですが、主人公が道を切り拓いていくさまはお話として面白い。小説の楽しさがありました。
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『呪われた腕』ほか

トマス・ハーディの短編集です。表題作のほかは、『妻ゆえに』、『幻想を追う女』、『わが子ゆえに』、『憂鬱な軽騎兵』、『良心ゆえに』、『羊飼の見た事件』、『アリシアの日記』。1881~1893年の間に発表されたものです。

誰もが持っている、人の暗い部分がどれにも描かれていて、ちょっともの悲しい読後感です。奇をてらわない筆致で読みやすかったです。
解説によると、ハーディは明治期から紹介されており、教科書にもよく載っていたそうです。ハーディのストーリーには、仕方ない、そういう運命だ、みたいな諦念があり、日本人には受け入れられやすかったとあります。
by itsumohappy  at 20:39 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

『薔薇の名前』

ウンベルト・エーコ作。1980年の作品ですが、日本で出版されたのは1990年です。
話題になった小説で、家にあったのですがずっと放置していました。奥付を見ると、90年3月の4版で、初版は1月とありますから、売れたんですねぇ。

14世紀はじめ、元異端審問官バスカヴィルのウィリアムと見習修道士メルクのアドソが、イタリアの修道院で起きた連続殺人事件の解明に挑むというストーリーは、当時、映画を見ていたので知っていました。映画は、中世のおどろおどろしい雰囲気がよく出ていて、なかなかよくできていました。

原作はえらく難しいらしいということで、長年読まなかったのですが、すいすい、とは無理でも予想より順調に読み進められました。ただ、同じ内容にしても、もっと面白くかつ短く書けるんじゃないかなぁ。また、もとの文章のせいでしょうが、日本語がところどころかなりわかりにくいです。

教皇と神聖ローマ帝国皇帝との関係や、清貧をめぐる論争など歴史的な背景をおさえて読むとよりわかりやすいでしょう。キリストの清貧を信仰の真理として認めるかどうか、そんな論争や教理問答がけっこう続きます。当時、正統とされることに妙な疑問を呈したりすると、異端として糾弾されたわけで、実に窮屈です。

「禁じられた書物」の禁止の理由も語られていますが、どうもぴんとこない。そんなによくないことかなぁ?? この中世の感覚にどれだけ関心を持って入り込めるかで面白さも変わってくるかな。
by itsumohappy  at 23:00 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑

ポーラ美術館ほか

1日です。
ポーラ美術館はしゃれた立派な建物でした。
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特別展
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常設展示に印象派の絵画やガレの壺など
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裏手には広大な雑木林があり、遊歩道で周回できます。ブナやヒメシャラの大木がありました。この日は霧が出てちょっと怖い雰囲気でした。
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箱根美術館
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MOA美術館の姉妹館らしい。六古窯のコレクションが展示されていました。
備前の大甕
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ここはお庭が美しいです。
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歩いて強羅公園へ。まだバラがきれいに咲いていました。
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明星ヶ岳も見えた。
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茶室と露地
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終盤のアジサイ展を見学し、登山電車で小田原まで下りました。これが大変な混雑でびっくりしたよ。
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あまり降られずしてこの季節のたたずまいを楽しめました。思ったより暑かった。次箱根に行くとしたら秋からですね。
by itsumohappy  at 22:26 |  旅行・山 |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑

道了尊

雨が心配でしたが、6月30日から箱根に1泊しました。いつも日帰りで前回いつ泊まったか思い出せません‥
初日は道了尊(最乗寺)へ。前回、明神・明星ヶ岳を歩いた時は見学できなかったので、ゆっくり見て回りました。幸い雨には少し当たった程度。
杉木立がとても立派です。なかなかない雰囲気です。
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灯篭が傾いているのは杉の根のためらしい。
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どこも深い緑です。
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ボダイジュの花
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奥の院へ向かいます。
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なえます‥
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ここの杉は高さもある。
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ボランティアのガイドさんのお話を聞きながら見学しました。ここに3時間弱いました。

大雄山駅前の金太郎さん
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いったん小田原に戻って宮ノ下へ。
なんとか雨に降られず過ごせてよかったです。

明星ヶ岳も見えました。
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by itsumohappy  at 23:04 |  旅行・山 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

『蒼ざめた馬を見よ』ほか

五木寛之の短編集です。表題作のほか、『赤い広場の女』、『バルカンの星の下に』、『夜の斧』、『天使の墓場』が収められています。1966~1969年に発表されました。

五木氏は、今は人生論・老人論や親鸞など宗教家の物語を主に書いている感じですが、初期はこのようなスリリングな作品を書いていたのですねー。
話に引き込まれて今でもそれなりに読めます。ただ冷戦の頃を全く知らない人だとぴんとこないかもしれません。


by itsumohappy  at 21:15 |   |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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