『薔薇の名前』

ウンベルト・エーコ作。1980年の作品ですが、日本で出版されたのは1990年です。
話題になった小説で、家にあったのですがずっと放置していました。奥付を見ると、90年3月の4版で、初版は1月とありますから、売れたんですねぇ。

14世紀はじめ、元異端審問官バスカヴィルのウィリアムと見習修道士メルクのアドソが、イタリアの修道院で起きた連続殺人事件の解明に挑むというストーリーは、当時、映画を見ていたので知っていました。映画は、中世のおどろおどろしい雰囲気がよく出ていて、なかなかよくできていました。

原作はえらく難しいらしいということで、長年読まなかったのですが、すいすい、とは無理でも予想より順調に読み進められました。ただ、同じ内容にしても、もっと面白くかつ短く書けるんじゃないかなぁ。また、もとの文章のせいでしょうが、日本語がところどころかなりわかりにくいです。

教皇と神聖ローマ帝国皇帝との関係や、清貧をめぐる論争など歴史的な背景をおさえて読むとよりわかりやすいでしょう。キリストの清貧を信仰の真理として認めるかどうか、そんな論争や教理問答がけっこう続きます。当時、正統とされることに妙な疑問を呈したりすると、異端として糾弾されたわけで、実に窮屈です。

「禁じられた書物」の禁止の理由も語られていますが、どうもぴんとこない。そんなによくないことかなぁ?? この中世の感覚にどれだけ関心を持って入り込めるかで面白さも変わってくるかな。
by itsumohappy  at 23:00 |   |  comment (2)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

教会の権力

作太郎さん こんばんはー は、早起きですね。

この本の歴史的背景をたどって頭で理解しようとしてみても何だか限界があるような感じでした。異端だ破門だと言われるのがどれほどのことなのか、想像しにくいです。

世捨て人みたいな人達も魔女扱いされたりして怖い社会です‥。

by hiro 2017/07/08 22:36  URL [ 編集 ]

異端審問

最近、田中一郎氏の『ガリレオ裁判』を読みました。異端審問はこんにちの裁判とは異なることが記されており、なるほどそのようなものかと感じ入りました。現代の感覚を持って中世を旅するわけにはいかないようですね。
by 作 2017/07/08 04:49  URL [ 編集 ]
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